体外受精とは?妊娠率は?費用は?通院回数は?
2016/08/08
体外受精とは?
高度生殖医療(高度不妊治療)とは体外受精のことです。体外受精は卵子を体外に取り出し(採卵)、培養液の中で精子を振りかけるようにして授精を助け(ふりかけ法)、受精卵を培養し、授精2~6日後に子宮内に胚を移植する方法です。タイミング法や人工授精で妊娠しなかった場合や卵管の通過性や精液検査で問題がある場合に適応になります。
なお、体外受精の授精法としてはふりかけ法以外に、顕微授精があります。顕微授精とは、顕微鏡下に採取した卵子の細胞質内に1匹の精子を直接注入する方法で、重度の男性不妊や媒精で授精が認められなかった場合や採卵数が少ないため確実に授精させる場合に適応になります。
体外受精による妊娠率は?
体外受精による妊娠率はタイミング法の約4倍。体外受精によるおおよその妊娠率は以下の通りです。
女性の年齢 | 妊娠率 |
35歳未満 | 30~35% |
35~40歳 | 15~30% |
40~44歳 | 2~15% |
45歳以上 | 1~2% |
病院によって妊娠率の違いはありますが、35歳未満で3割程度の妊娠率となります。
これは、3~4回受精卵を子宮に戻す(胚移植)ことでようやく1度妊娠できる確率です。この妊娠率を高いと感じるか、低いと感じるかは人ぞれぞれですが、体外受精で調べた受精卵の半数以上が染色体異常であるというデータがあり、どれだけ妊娠率の高い病院でも妊娠率が5割を超えることはありません。
なお、各病院のHPなどで妊娠率が公開されていますが、発表されている妊娠率が高いからと言って、その病院であなたが妊娠できる確率が高いわけではありません。第三者機関が公平性を持って出しているデータではなく、各病院でデータを取りまとめて掲載しているからです。病院によっては、妊娠率が低い40代以上の患者がデータから外されていたり、そもそも妊娠しづらい患者の治療を引き受けずに妊娠率を上げていたりする病院があります。
一般的な妊娠率より飛びぬけて高い妊娠率を公開している病院は意図的にデータ操作をしている可能性もありますので、注意が必要です。
体外受精にかかる費用は?
体外受精の費用は一部健康保険が効く項目もありますが、ほとんどの項目が自由診療扱いで自己負担10割となります。
病院によって料金設定に大きく差があります。一般的には1周期(採卵→移植→妊娠判定)で300,000~800,000円と病院によって、また使用する薬剤や胚凍結の有無などによって大きく変わってきます。
また、無精子症の場合などは男性側の手術(TESEなど)が必要になるため、さらに数十万円かかります。
なお、治療を受けたことが無いと思われる方が書いているネット記事では10万円台の料金を記載している場合がありますが、実際には10万円台で体外受精の費用がカバーできることはほとんどありません(多くの病院のHPで掲載している採卵と胚移植費用を足して計算しただけの数字と思われます)。
また、一部の病院のHPで『完全自然治療』の場合に10万円台と記載している場合がありますが、これもほとんどの方に当てはまりません(一種の客寄せの場合が多い)。
なぜなら、『完全自然治療』とは薬剤を一切使わない治療だからです。そもそも体外受精を医師から勧められる患者の多くは(卵管閉塞のみが不妊の原因とされる方を除く)、自然妊娠しなかった患者であるため『完全自然治療』が適さないのです。
体外受精の通院回数は?
最低でも1周期で6回の通院が必要です。
採卵+新鮮胚移植の場合
1回目 生理から数えて3日目
2回目 〃 7~8日目
3回目 〃 10~12日目
4回目 採卵日(午前中の時間指定有り)
5回目 移植日(お昼頃の時間指定有り)
6回目 妊娠判定
また、受精卵を凍結して、次周期以降に移植する方法(凍結胚移植)の場合であれば、採卵の日程を含めて少なくとも8回の通院が必要です。
採卵+凍結胚移植
1回目 生理から数えて3日目
2回目 〃 7~8日目
3回目 〃 10~12日目
4回目 採卵日(午前中の時間指定有り)
5回目 採卵1週間後内診&凍結確認
6回目 移植前内診
7回目 移植日(お昼頃の時間指定有り)
8回目 妊娠判定
卵胞の成長具合によって、また卵胞を育てる注射が自己注射(自宅で注射)出来ない場合は、毎日採卵前々日まで毎日通院となる場合があります。
ワンポイントアドバイス!
病院のHPにある妊娠率は参考程度にしておきましょう。妊娠率よりも、実際に足を運んでその病院の方針や医師の考え方(画一的な治療ではなく、それぞれの患者に合った治療を柔軟にしてくれるか)などを重視しましょう。
また病院のHPには薬剤の費用について記載していないことが多いですが、薬剤に数万円~十数万円かかりますので、思ったよりも費用が掛かることを心しておきましょう。
採卵日は午前中、移植日はお昼頃の時間指定での通院となります。仕事がある場合などは休まざるを得ません。
通常の通院に関しては基本的には時間内の通院で大丈夫ですが、仕事などとやりくりが出来るように夜間も診療している病院や自己注射が出来る病院をお勧めします。
また、卵胞の成長に合わせて採卵日が決められるように、日曜日も開いている病院を選ぶのがベストでしょう。
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