体外受精の流れ
2016/08/08
体外受精の一連の流れを順を追って見ていきましょう。
1. 卵巣刺激
卵巣刺激(ロング法、ショート法、アンタゴニスト法、低刺激法など)により卵胞を複数個発育させます。または自然周期で1つの卵胞の発育を待ちます。
排卵誘発剤による卵胞刺激は、採卵の際に良好な卵子を複数個採取するために行われます。
卵巣の反応は人によって異なりますので、AMHやその他のホルモン検査の数値を参考に卵巣刺激方法が選択されます。
通常は生理3日目からクロミッドなどの内服薬およびhMG/FSH注射をしていきます。
2. 採卵(手術)
生理から7日目頃より卵胞の発育状況を超音波検査とホルモン検査により診ます。その上で、採卵日を決定します。採卵の2日前の夜に卵子の成熟に必須となるhCG注射を行います。
採卵日は絶飲食で来院します。
手術着に着替えて、手術室で超音波ガイド下に線尿の採卵針で卵胞益を吸引し、卵子を回収します。
採卵時の痛みに対しては、全身麻酔、局所麻酔、座薬による痛み止め、無麻酔などの選択肢があります。
採卵した卵子は直ちに培養環境のインキュベータへ移されます。
3. 精液採取
男性は、採卵日当日に自宅か院内のメンズルームで採精します。形態や運動性が良好な精子を回収するために遠心分離処理やスイムアップなどが行われます。
4. 媒精
通常、1つの卵子に対して、精子が10万個前後になるように調整し媒精(卵子と精子を一緒にする)します。
通常の媒精では受精卵が出来ないほど運動精子が少ない場合や、採卵された卵子の数が少ない場合は、授精する確率を上げるため顕微授精(ICSI)を行います。
また、病院によってはふりかけ法により精子が卵子に進入しなかった場合に、顕微授精を急きょ行うレスキューICSIを行う場合もあります。
5. 授精確認
受精の有無については採卵の翌日に判断が行われます。授精が確認された胚は培養を継続します。
分割胚の場合は2~3日、桑実胚を経て胚盤胞まで育てる場合は5~6日ほどの間37℃くらいに保たれたインキュベータの中で培養します。
6. 胚移植
採卵から2~5日目に受精卵を子宮内に移植します。移植されなかった良好胚は胚凍結が行われます(新鮮胚移植をしない場合は全胚凍結となります)。
7. 補助孵化療法(アシステッドハッチング)
胚盤胞が成長すると、胚の外側を破って細胞が出てきます。これを孵化(ハッチング)といいます。胚はハッチングしないと着床することが出来ませんが、加齢や胚凍結により透明帯が固くなりハッチングしにくくなります。その為、アシステッドハッチングを行う場合があります。
8. 黄体ホルモン補充
胚移植後は黄体ホルモンの補充を行います。補充方法は錠剤の服用や注射が主ですが、病院によっては膣剤によって補充する場合もあります。
9. 妊娠判定
移植日から14~16日ごろに通院し、尿採取、または血液検査をします。
妊娠していればhcgという項目の数値が上がります。血液検査の場合は血中のhcgが20mIU/mL以上で妊娠判定が陽性となります。
但し、それ以下のhcg値の場合でも5mIU/mL以上であれば出産した方もいるため判定保留となる場合があります。
ワンポイントアドバイス!
体外受精の大まかな流れは「卵胞を育てる」→「採卵」→「受精させる」→「受精卵を移植」→「黄体ホルモン補充」→「妊娠判定」です。
卵巣刺激の方法はロング法、ショート法、アンタゴニスト法など様々です。ご自身のホルモン検査の数値や体質に合った方法を試してもらえる病院を選びましょう。
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